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私が電力をしている理由 伊藤菜々

カテゴリー:ニュース 2021.08.23

私が電力をしている理由はなんだろう。
ふと考えてみました。

固定価格買取制度が始まり投資物件として再エネが明るくなったから?
電力自由化で新規ビジネスチャンスができたから?
ストック収益だから?
なくならないビジネスだから?

どれも違いました。

私の父は電気主任技術者です。
私がまだ小学校くらいの時?夜中に父の携帯がなり響き、点検のために車で飛び出て行ったのを覚えています。
日本では電気は当たり前に流れており、止まったら?といった心配はあまりしません。災害で被災した方などは電気設備が故障し停電することの大変さをわかるかもしれませんが、そうでない限り気にしないでしょう。
インフラが整っていて優秀な日本だからこそなのです。
その安定供給は、父のような電気設備の点検、保安、そしてもしもの時の対応をしてくれる人のおかげなのだと思います。
あの日、父が現場へ飛んでいかなければ、その施設の方は困り、仕事にも支障が出たかもしれません。

電力の安全、安定供給を守るということは、職業として裏方です。表にでてメディアを飾るようなものではなく、今日も安全を守れた、また技術が進んでいったからといって、素晴らしいときらびやかに賞賛され注目されるものでもありません。
しかし、日本の成長、日本発の商品、技術、サービスを作るために、必ず必要なものなのです。
オリンピックを見て感動した方は多いと思います。オリンピック選手はもちろん素晴らしい。
ただ今回、自国でのコロナ禍での開催だからこそ気づけたことがありました。
オリンピック選手だけでなく、監督、サポートメンバーといった選手団チーム、運営を直前まで議論し調整したお国や東京都の方、世界へ発信したマスコミの方、待機した医師団など、オリンピックの成功を支えた方々がいたからこその金メダルなのです!
その支えている方々というのが、電気の安定供給を支えている方々なのです。
私は、そうありたい。

また、安定供給だけでなく、地球温暖化問題の観点から、電気の質も大事なことということがわかってきました。
温室効果ガスを排出しない電気を供給する必要がりますが、現在のベース電源である火力発電は温室効果ガスを発してしまいます。安定供給をとれば温室効果ガスは増え、質をとれば安定供給は損なわれてしまうという、難しい問題です。
どちらもとるには、再エネなどの変動する地球にやさしい電力に調整力をプラスすることや、原子力発電のリスクを許容できるところまで減らすことなど、難易度は高いですが方法はあります。
私は、世界へ挑戦し勝つために戦っている日本企業を応援したい。企業も頑張っているのだから、電気のことでハンデキャップにはなってほしくないのです。
電気の大事なポイントは大きく2つ、安定供給と質つまり温室効果ガス係数です。
日本では電気を好きな時に好きなだけ使えないということはありませんが、日本企業は温室効果ガス排出係数の高い電気を使っているというのが現在の欠点です。
そのうち海外企業からは『日本の製品はいいけれど、温室効果ガス係数が高いから取引できないね。』なんてこと、可哀そうすぎます。
父の時代は、電気の安定供給ということを確固たるものにしてくれました。私はそのレールに乗りスタートできたのです。
父の時代にはあまり言われなかった電気の質というところを、私の時代では確固たるものにしていく責任があると思っています。安定供給+地球にやさしい電気を供給することが私の務めなのです。
日本企業が世界で勝つための、オールニッポンのインフラ担当として支え続けたいと想います。

父は仕事のことを私に語ることはほぼありませんでした。
父の姿勢のように、電力を支えるエッセンシャルワーカーの方々は、多くを語りません。
ただそこには真摯に誠実に、日本の電力安定供給を支える、侍魂があります。
父の背中を見て感じたこと、そこに私自身で感じたことをプラスし、時代の流れにチューニングをし、常に日本を支え続ける人でありたいと想う。

伊藤菜々

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