世界はいま大きな転換期を迎えています。国際秩序、政治・経済情勢の急激な変化、価値観の変容、技術革新・DX、産業構造の複層化、新たなエコシステム出現など、非連続な変化と既成概念の破壊が至るところで起きています。

国内においても、温暖化による自然災害の大規模化、少子化による地方都市の過疎化など、今後解決すべき課題は数多くあります。

しかし、見えてきたことがあります。

それは、ウイルスや地球温暖化の問題等、人類が自然をコントロールできないことが顕在化している今、私たちは、これまでとは異質な不確実性の下にあるということです。そして、数多くの課題に対応するためには、全体を俯瞰して包括的に展望する必要があるということです。

国内の電力・エネルギーを巡る状況も大きく変化しています。カーボンニュートラルの動き(電化への対応)等により、業界構造の力学が目まぐるしく変化しています。この業界においても、全体を俯瞰して対応する実践力が求められ、従来の経営スタイルでは対応できない、様々な課題も生まれています。

私は関電工やNECの大企業での事業経営に加え、エフビットコミュニケーションズのような中堅企業、ネクステムズのようなベンチャー企業、地方のガスインフラ企業等、守秘義務上、名前を出せない企業も含めると、今まで30件近くの経営やプロジェクトに携わってきました。全て電力・エネルギー領域での事業であり、思惑通り!狙い通り成功!と言えるケースは少なく、失敗経験が多いことが事実です。

ある時は、経営技術の専門家(技術士)として、ある時は資金調達を担う立場で、ある時は個人保証をする代表取締役社長の立場で、ある時は株主として、ある時は経営ガバナンスを担う社外取締役で、またある時は事業創りのプロジェクトマネジャーとして。そして私自身は電力・エネルギー業界の進化を担う、I.T.I.の代表です。一貫して電力・エネルギー分野での経営やプロジェクトの現場に、当事者として関わる機会はそうあるものではありません。その意味では、昨今の電力システムの変化をこの身で感じながら、得難しい経験を重ねて来たように感じています。

いま、世界は新しい時代に入っています。国内の電力・エネルギー事業も新しい時代に入っています。経営のあり方、プロジェクトの創り方、ガバナンスの方法、コンサルタントやパートナーの選び方も従来のやり方だけでは通用しない新しい時代に来ています。

同業他社が何をしているのかだけを見ている経営では不十分で、それぞれの個人が、それぞれの組織や会社が、今の時代を乗り越えるべき真の実践力が試されていると感じています。I.T.I.は、新しい和の時代に適合した、成長への道筋を共に創り出し、健全な社会の発展に貢献したいと思います。

令和3年6月10日

柏崎 和久