ビジネスパートナーの伊藤菜々です。
先日、岩手県陸前高田市でのイベントに講師として参加させていただきました。イベントのタイトルは、「地元で稼ぐを可能にするキャリア」です。
ところで、皆さんは、「電気のお医者さん」と例えられる電気工事士や電気主任技術者が、今、地方で不足していることをご存じでしょうか? 電力業界の方々でも、なかなか、ピンとこない話題だと思いますが、脱炭素と関係の深い「電気のお医者さん」について、電気予報士なな子の目線で書いてみました。是非、ご一読ください。
<電気主任技術者の活躍の場は?>
いま、政府は再生可能エネルギーの普及を推進しており、太陽光発電や風力発電、水力発電などの新しい発電施設が増加しています。これらの施設の設計、施工、保守管理には、電気工事士や電気主任技術者の専門知識と技術が必要です。
また、日本のエネルギー・インフラの多くは高度経済成長期に整備されたものであり、老朽化が進んでいます。これらの更新や改修においても、電気工事士や電気主任技術者の役割が重要となります。
更に、地方では、分散型エネルギーシステムの導入が進んでおり、これらの新しい技術とシステムの設計、導入、管理には専門的な知識と技術が求められます。ここでも、エネルギー効率の向上や電力供給の安定性向上に貢献するための技術者の需要が高まっています。
<電気主任技術者、かっこいい?>
そんな高度な技術と専門性が必要な「電気のお医者さん」は尊敬に値する職業であり、人々の生活や企業の運営に欠かせないインフラを支える存在であり、その信頼性と責任感は非常に大きなものです。
また、再生可能エネルギーの導入やマイクログリッドの構築など、未来のエネルギー・インフラの発展に貢献するので、多くの電気工事士や電気主任技術者は、プロジェクトの進行を管理しているので、チームをまとめ上げるリーダーシップは、その人物をかっこよく見せる要素でもあります。
私もかっこいい?
<電気主任技術者とは 人手不足が深刻化>
電気主任技術者とは、電気事業法に基づく国家資格です。ビルや工場、病院、発電所、変電所など、あらゆる施設の電気設備の保安監督業務を行なう際には、電気主任技術者の資格が必要になります。電気主任技術者は、取り扱い可能な事業用電気工作物の電圧によって、「第一種」「第二種」「第三種」の三段階の資格に分けられ、それぞれ「電験一種」「電験二種」「電験三種」と呼ばれます。
また、電気主任技術者と似ている資格に「電気工事士」があります。電気工事士が電気工事を担当する一方、電気主任技術者は、電気設備の保守・点検などの保安監督業務を担当する資格です。電気工事士は、電気主任技術者の指示に従う立場だといえるでしょう。
しかし、近年電気保安点検を担う電気主任技術者の人材不足が深刻化しています。資格保有者の高齢化も進んでいます。
<電力業界を華やかにしたい>
21世紀現在、成長拡大一辺倒の資本主義を見直す動きが始まっています。SDGsやESG投資はじめ、持続可能な社会へのシフトが重要視されてきています。脱炭素社会の実現を目指すエネルギー・インフラ産業は、そもそも長期的な時間軸の上に成り立っています。その意味でも、「電気のお医者さん」を増やしていくことは、この先数年の短期的な時間軸ではなく、長期的な時間軸を見据えてかなければならない問題だとも思っています。
今回、多くの方にご参加いただき、私が取得した主任技術者の現状や課題、資格取得の勉強法まで話をさせていただきました。「地元で働きたい、地元に貢献したい」「安定した収入がほしい「将来の仕事に不安がある」といった方々には、電気主任技術者としてのキャリアを示すことができたと思います。これからも、このようなイベントに関わらせていただき、電力業界を華やかにしたいと思います。
私は、この資格を取得して、まだ見習い期間ですが、実際に手を動かして設備を構築したり、問題を解決したりすることが多く、達成感や充実感をもたらす仕事だと感じています。電気主任技術者は難関資格であり、合格には綿密な計画と長期間の学習が必要ですが、私だって合格できます。もっと、資格の知名度を上げて、人気の仕事になるよう、これからも仕事の魅力を発信していきたいと思います。