柏崎和久
株式会社I.T.I. 代表取締役社長

2025/
12/26

拝啓
年の瀬を迎え、皆さまにはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 本年も、多くのご縁と学びに恵まれ、心より感謝申し上げます。
振り返りますと、今年は私自身の仕事と生き方が、一本の線としてより明確に結ばれた一年でした。
私が日本酒のプロジェクト「SAKE RE100」に携わる理由、 マイニング事業に関心を持ち、さらには自らその事業を担う企業の経営顧問という立場を引き受けている理由。 一見すると異なる分野に見えるこれらの取り組みは、私の中ではすべて「エネルギー」と「人間の営み」を軸に、深くつながっています。
電力・エネルギー業界で仕事をする中で、私が一貫して向き合ってきたのは、 エネルギーを単なるインフラやコストとしてではなく、 文化や経済、そして人の生き方そのものを支える“教養”として捉えることでした。
日本酒は、土地の水と米、微生物、そして人の営みが織りなす文化の結晶です。 その日本酒を再生可能エネルギーで醸すSAKE RE100は、 脱炭素という課題を、数字や義務ではなく、誇りと物語をもって伝える挑戦だと考えています。
一方で、マイニング事業は、情報化社会における新たなエネルギー需要と、 地域分散型エネルギーの可能性を問い直す試みです。 マイクログリッドの普及は、災害に強い社会をつくるだけでなく、 地域が自立・自律し、自然と共生しながら生きるための基盤になる 、それは、私の人生のテーマでもあります。
また、資本主義との向き合い方、「粋な経営」という価値観、 そしてキックボクシングを通じて身体をもって生き方を示す姿勢。 これらの根底には、私自身が日々自分に言い聞かせている、いくつかの信条があります。
人はいつまでも学び、成長できること。 成功は約束されていなくとも、成長だけは自らと約束できること。 自信は才能からではなく、努力の積み重ねから生まれること。 習慣は第二の天性であり、過去の積み重ねが今の自分をつくっていること。
努力とは、結果を保証するものではありません。 それでも私は、努力は「運を買うための投資」だと信じています。 だからこそ、疲れたら休み、また負荷をかけ、行動を繰り返す。 決して冷めない、狂おしいほどの情熱をもって。
人生は一度きりであり、同時に、情熱を演じ続ける劇場でもあります。 人との良い関係を大切にし、日々に感謝しながら、 十年後には年齢不詳と言われるような人間でありたい。
そして何より、 自らの人生の文脈を自覚し、 死んでから評価されるような仕事に、静かに、しかし確かに取り組み続けること。 それらすべてが、 「人は何のためにエネルギーを使い、どのような社会を次世代に手渡すのか」 という一つの問いに収斂しているように思います。
年末にあたり、改めて感じるのは、 仕事とは単なる職業ではなく、 その人の死生観や価値観が滲み出る“生き方そのもの”であるということです。
来年もまた、マイクログリッドの旅ーエネルギーをめぐる旅を続けながら、 地域と文化、そして未来世代にとって意味のある仕事を、皆さまと共に積み重ねていきたいと考えております。
本年のご厚情に深く感謝申し上げますとともに、 新しい年が皆さまにとって実り多き一年となりますことを、心よりお祈り申し上げます。
敬具
2025年12月26日
株式会社I.T.I.
代表取締役 柏崎 和久