私の師は、経営の神様、P・F・ドラッカー、マネジメントの生みの親です。ドラッカーは自身のことを「社会生態学者」と呼んでいたように、若い頃から自分の使命は社会を生き物として見る「物見の役」であると認識していたそうです。そんなドラッカーとの出会いは必然だったのでしょう。ごく普通の家庭で生まれ育ったこともあり、幼少の頃から成功者の代名詞である経営者に強い憧れを抱いていた私にとって、「マネジメント」という一冊の本に出合ったことが人生の転機でした。当時、30歳前後でしたが、「このままで良いのか」と、自らの生き方を悩んでいた頃でした。「マネジメント」は、多くの方々に読まれているドラッカー入門書ですが、師の言葉の全てには心を揺さぶるほどの情熱があり、私を経営のプロに導いてくれたと言っても過言ではありません。
大海原のドラッカーの経営論については、ここでは触れませんが、この時以来、ドラッカー経営を学び、自らが担うプロジェクトにおいて、ドラッカーの理論を実践しています。今でも、私の野性的経営の源流には、「組織とは、個として、あるいは社会の一員として、貢献の機会と自己実現を得るための手段である」というドラッカーの言葉があります。更に大事なこととして、ドラッカーが、成長と自己革新を続けられる人にある共通点として、「何によって憶えられたいのかを問い続ける」という名言があります。そして、「本当に知られるに値することは、人を素晴らしい人に変えることである」という師の導きから、決して順風満帆ばかりではない、私の経営の旅は、今でも続いています。