コラム/ナレッジ

2025/

01/29

粋な経営

柏崎和久

株式会社I.T.I. 代表取締役社長

技術士(経営工学) 唎酒師

現代の企業経営において、何が本当に大切な要素であるべきかを考える時、私たちは時に目先の利益や効率性に流されがちです。しかし、かつての日本の商人や職人たちが守り続けた「粋」の精神こそ、今こそ再評価すべき価値であると感じています。

「粋な経営」について思ところを書いてみました。「粋」「野暮」「気障」と経営を掛け合わせた考え方、是非、ご一読ください。

1. 「粋な経営」の本質

「粋な経営」とは、顧客、取引先、従業員との関係を「損得」ではなく「信頼」を基盤に築くことです。短期的な利益を追い求めるのではなく、社会や業界全体の発展を重視し、美意識と誠実さを持って筋の通った経営を行うことが求められます。こうした企業は、ファンや共感者が増え、最終的には持続可能な成長を遂げることができるのです。

2. 「粋な経営」が持つ歴史的背景

「粋」という言葉は、江戸時代の商人文化において重要な価値観として浸透していました。商人たちは、質の高い商品やサービスを提供し、顧客との長期的な信頼関係を築くことを重視していたのです。この考え方は、ただの商業活動ではなく、社会的な責任を果たすことと結びついていました。顧客に喜ばれ、地域社会に貢献し、その結果としてビジネスが成り立っていくという循環が生まれたのです。

現代においても、この「粋な経営」の精神は非常に重要です。グローバル化が進み、経済が急速に変化する中で、目先の利益や効率化が求められることが多くあります。しかし、本質を見失い、表面的な成果にとらわれる経営が広がる中で、「粋な経営」を実践する企業こそが、真の信頼を得ることができるのです。

3. 「野暮」や「気障」な経営の危険性

一方で、短期的な損得勘定を優先し、本質的な価値を見失った「野暮」な経営や、見栄を張るだけの「気障」な経営が蔓延している現実もあります。こうした企業は、品質を犠牲にしてコストダウンを図ったり、過剰なプロモーションを繰り返して顧客の期待を裏切ったりします。その結果、信頼を失い、長期的には競争に敗れることになるのです。

また、「気障」な経営は、華やかなマーケティングやブランディングに力を入れすぎるあまり、実態が伴わない場合が多いです。表面的な社会貢献やESG活動を謳っても、実際の取り組みが伴わないと、消費者や社会からの信頼を得ることはできません。

4. 「粋な経営」の復活が求められる時代

現在の日本において、「粋な経営」の復活は非常に重要だと私は感じています。企業が短期的な利益追求に走ることなく、社会全体の発展を見据えた経営を行うことが、長期的な成功への鍵となるでしょう。また、消費者の目が厳しくなり、企業の本質が見極められる時代だからこそ、誠実で筋の通った経営が求められています。

「粋な経営」を実践する企業は、単に利益を上げるだけでなく、社会的な価値を創出し、共感を呼び起こします。その結果、真のファンや支持者が生まれ、企業の成長が持続可能なものとなるのです。逆に、「野暮」や「気障」の経営は、一時的な利益を得ても、最終的には信用を失い、競争に敗れていくことが多いです。

5. 結論

「粋な経営」は、ただの理想ではありません。それは、日本の伝統的な価値観に根ざした、本質的な経営のあり方です。顧客、取引先、従業員との信頼関係を築き、社会に貢献する企業こそが、長期的な成功を収めることができます。

今こそ、企業経営において「粋」を復活させるべき時です。短期的な成果にとらわれることなく、社会にとって本当に価値のある企業を目指していくことが、これからの時代に求められているのではないでしょうか。

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