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エネルギーも日本酒も地方の時代

カテゴリー:ニュース 2021.08.14

 

私たちが使う電力が火力発電や原子力発電の大規模集中型電源から「再生可能エネルギー」に代わると、私たちの暮らしは良くなると言われています。

「再生可能エネルギー」が地域で循環すれば、地域でお金が回り(電気代が回ること)好循環をもたらすと言われており、エネルギーの地産地消は地域に活気をもたらすという考え方です。

 

こうした考え方ですが、私の実感としては、「活気は、まだまだ!」といったところです。

ただ、地方のエネルギー事業に携わっている肌感覚として、エネルギーシステムが、急速に中央集権から地方分権に移行していること明らかです。

なぜなら、中央集権体制をとっていた(今でもとっている?)組織から、再エネ普及のブレーキがかかることがしばしばあるからです。組織には必ず従来のやり方のイナーシャ(慣性力)がありますから、ブレーキは変化する社会での必然的な制御装置だと思っています。

(2017年度現在、電源構成に占める再生可能エネルギー比率は約16%。ドイツやイギリスといった諸外国と比べて、低い水準です:資源エネルギー庁の資料から)

さて、電力・エネルギーでは無く、日本酒業界に目を向けると、松竹梅、月桂冠、白鶴、大関、最近では獺祭、こうした誰もが知っているブランドは、大規模工場で造る日本酒です。

一方で、地方に分散している小さな酒蔵は、全国に1500程度あり、私のビジネスパートナーの六代目蔵元が率いる西堀酒造も、佐渡で一緒に仕事をさせていただいている加藤酒造店も小さな酒蔵です。

 

いま、西堀さんや加藤さんのような地方に点在している小さな酒蔵では、地域でお金が回る、いわゆる地産地消の取組みが盛んです。加藤酒造店さんにおいては、「米から手掛ける酒造り」をテーマに、佐渡島内の農家の方々と共に酒米作りに取り組んでいます。

(写真:加藤酒造店のホームページから)

実は、電力業界と日本酒業界、似ているのです。

産業革命以降、電力の世界では、資本主義経済の末に生まれたのが原子力発電のような大規模集中電源です。そして、日本酒の世界では、日本酒が本来持っていた自然への畏敬や地域性を失った大規模日本酒工場です。

どちらも、市場拡大、利潤の追求の末に生まれたカタチです。

(出所:NewsPicks 開疎化がもたらす未来)

私たちは、コロナ禍の教訓として、人間は自然の力には抗えないことを知りました。また、一ヶ所に人やビジネスが集中する、中央集権化した社会はリスクだらけなことも知りました。更に、市場の拡大、利潤の追求が、地球環境を破壊するに至ることも学びました。

コロナ禍が結果的に促進しているのは、「開疎化」といわれる分散化された社会です。

ですから、私は、地方の酒蔵を応援するとか、地方のエネルギー事業を育てる必要があると思い、行動しています。株式会社I.T.I.は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、引き続き、地方での活動を継続していきたいと思います。

柏崎和久

 

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